「下を向くんじゃねぇぇ!」2

バレーボール経験者を泣かせるあの名言の英訳再び!



先日同僚通訳者のYoutubeライブ配信番組に出させて頂き、ハイキュー!! についても語らせて頂きました。その時に「一番好きなハイキュー!! の名言は?」と聞かれたので、及川徹の「叩くなら折れるまで」と答えました。なにしろ私は、架空の人物で高校生である及川徹を尊敬しておりますので。しかし、監督やコーチの名言の中ではやっぱりこれが一番涙腺に訴えてきます。上のビデオ、0.55~からの声優さんの熱演をお聞きください。

 

「下を向くんじゃねぇぇぇ!バレーは常に上を向くスポーツだ!!

 

これです。本当に烏養コーチのこの絶叫を聞くたびに目頭が熱くなります。何回同じアニメを観ているの?と思われてしまいそうですが、、、(もう10回以上全エピソードを観ております)。

 

さて、先日新たなアニメ配信サイトに入会したところ、下のような吹き替えを聞くことができました。

 

Don’t you hang your heads! Stop it! Volleyball is a sport where you always have to look up!”

 

“Don’t you hang your heads!” 良いですね~~!和訳し直すと「うなだれてるんじゃねぇ!」ですからピッタリかと思います。通訳や翻訳をしているとついつい原文の単語に引きずられてしまいがちですが、この英訳には原文に相当する単語が一つもないにも関わらず、原文の意図をよく表していると思います。

 

夏目漱石が英語の “I love you.” を「月が蒼いですね」と訳したという真偽不明の伝説があります。発話者の信条を最もよく表すと漱石が考えた訳がそうだったのでしょう(この逸話が本当なら)。通訳翻訳の場合は、聞く・読む側目線で考えますから、頭の中で一旦原文を3Dの絵にしてみて、それを自分の言葉で、聞く側に一番刺さりそうな言い方で伝えてると生き生きした訳になると思います。その時に違う角度からその3Dの絵を見ると、意図は同じなまま違う言葉を使った訳出になりますね。私も常に3Dの訳出ができる通訳者を目指しています。

 

後半部分に関しては、先日ご紹介した英訳では、現在形の“look up と現在進行形の“are looking up”が使われていて、私は現在進行形の方が合うと感じました。現在形を使う場合はただの現在形のままではなく、この訳のように ”have to” を使うとよりこの原文に近くなると思います。

 

 

アニメ38