監督の名言 3「強い方が勝つのではない」Moving quotes from the coaches 3

音駒高校と烏野高校の練習試合時の音駒高校監督の言葉:

 

「強いスパイクを打てる方が勝つんじゃあないんだ。ボールを落とした方が負けなんだ。これが、ぐということなんだ。」

 

英語版漫画単行本:

The team that wins the volleyball game isn’t necessarily the one that can spike the ball the hardest. It’s the team that lets the ball hit the floor first that loses. That’s the importance of staying connected as a team.

 

Crunchyroll 字幕:

The team with strong spikes doesn’t win. The team that drops the ball loses. And that’s what it means to “connect”.

 

本当にそうなのです。バレーボールは、どんなに優秀なスパイカーがいても、相手のサーブを拾って繋いで相手コートにボールを返せなかったら点を取られてしまいます。バレーボールに限らず、人生においてこの言葉はいろいろな場面に当てはまる名言だと思います。

 

では訳文を見ていきましょう。まず漫画の方ですが、これは原文に対して長すぎます。丁寧に説明をしているのはわかるのですが、このように接続詞 ”that” を多用して長くなってしまうと、くどく感じられて原文のリズムが失われます。また、3つ目の文の下線部は誤訳です。ここの原文の意味は、「ボールを落とさずに繋いでいく」と言う意味であって、「チームのメンバーとしてお互いが繋がっている」という意味ではありません。間違った解釈を補足説明的に付け加えているので、文が必要以上に長くなっています。

 

字幕の方は、字数制限もあるためか原文と尺がピッタリ合った簡潔な文で、原文のリズムが保たれているよい訳だと思います。ただし最初の文は、この文だけ切り取ると、「強いスパイクを打つチームは勝たない」という意味に取れてしまいますので、私の試訳としては:”It’s not the team with stronger spikes that wins the game, but the team that drops the ball loses.”となります。