「エースの心得」 The Way of the Ace

「エースの心得」 The way of the ace

梟谷学園のエース、木兎(ぼくと)光太郎のTシャツの後ろに書いてある(ハイキュー!! ファンの間では)有名な心得です。全国大会の試合のシーンでも大きく出てきます。

 

エースの心得

 

一つ、背中で味方を鼓舞すべし

 

一つ、どんな壁でも打ち砕くべし

 

一つ、全てのボールを打ち切るべし

 

The Way of the Ace

 

英語版漫画単行本:

1.     The sight of your back must be an inspiration to your teammates.

2.     Any and all walls are to be crushed.

3.     All balls are to be spiked with full strength.

 

Crunchyroll 字幕:

1.     Your back should be an inspiration to your teammates.

2.     Smash every wall in your way

3.     Every ball shall be spiked!

 

 

1の「背中で」は訳すのが難しいですね。漫画も単行本も、背中という単語に引きずられて英語としては不自然なモロ直訳になってしまっています。しかしとりあえず「チームメートを鼓舞しろ」という部分は伝わります。「背中で~する」という日本語の表現は、「口で言わなくても自分の行動で示す」という意味ですから、英訳としては、無理してbackを使わなくても、例えば “Lead by example” というよく使う表現でもよかったかもしれません。

 

とはいえ、字幕や単行本英訳の目的が自然な英語でというよりも原文に何と書いてあるかをできるだけ単語レベルで読者に伝えること、と設定されていて、翻訳者には「できるだけ原文から離れないように」という指示が出ているのかもしれません。それでしたらどうしてもこのような訳になるかと思います。

 

2の「どんな壁でも」の訳は、字幕の every も正確な訳ですが、単行本の “any and all walls” だと「どんな」がより上手く強調されています。スパイクでブロックの壁を打ち破る感じは ”smash” の方が近い気がします。漫画で使われている ”crush” はどちらかというと「押しつぶす」というイメージが強いですので、私が翻訳するとしたら使わないでしょう。ただし、通訳だったら考える時間がそれほどないので、私も”crush”を使う可能性は大いにあります。

 

3の「打ち切る」の「切る」が漫画では “with full strength” できちんと表されています。また、字幕の ”shall be spiked” というちょっとすました言い方よりも、漫画の ”to be spiked” の方が “no ifs or buts” (つべこべ言わず) 的な断言性が強く、心得の言い方としてはより力強くて合っていると思います。

 

 

漫画22巻 アニメ「地対空」編